国内旅行

清水港1日散歩 現代とモダンが入り混じるベイエリア

清水港 静岡県

忙しい日常を離れ、いろんな船を見ながらのんびり過ごしたい、
旅の途中、静岡らしい場所でひと休みしたい、
そんな時には、日本三大美港のひとつ清水港にぶらりと立ち寄ってみるのもいいかもしれません。

静岡県で最も重要な国際港、清水港。
三保の松原がある三保半島がせり出して、防波堤のように清水港を守ってくれている、ちょっとおもしろい地形なのです。

特にエスパルスドリームプラザがある日の出地区は、整備が進む一方で、税関があったりレトロな倉庫が並んでいたり、新旧の港町が楽しめる場所です。
今回は、私の清水港お気に入りコースを散歩動画にしてみました。

フェルケール博物館
Verkehr Shimizu Port Terminal Museum

うーん、フェルメールの絵ってあんまり好きじゃないから、別に行かなくてもいいんじゃない?
ずっと勘違いしたまま通り過ごすこと30年。
画家のフェルメールじゃないと知ったのはつい最近のことになります。

『フェルケール』とは、ドイツ語で ”交通”という意味だそうです。
正式名称は『清水港湾博物館』、船と港の博物館です。

フェルケール博物館(清水港湾博物館) Verkehr Shimizu Port Terminal Museum

赤いレンガの塀を入っていくと、同じレンガのシンメトリックな建物が横たわっています。
前庭には、いかにも港湾関係の博物館らしく、実際に船で使っていた大きな錨などが置かれ、玄関アプローチの両側には水をたたえた池が来館者を迎えてくれます。
30年経ってるとは信じられないほどに、古さをまったく感じさせません。
平日だったこともあってか、一人で訪れる来館者ばかりで話し声も聞こえない静かな館内に、中庭の屋根から落ちる水音が響いていました。

展示室 Exhibition room

展示室は、1階は常設展示、2階は企画展という構成になっています。

○第一展示室 清水港の成り立ち

一番先に目に飛び込んでくるのが、清水付近の立体地図模型。
地図で見ると、駿河湾の左岸にクルリンと飛び出たコブがあるんですが、あそこの立体拡大版です。
清水港のの歴史の説明や古文書などもわかりやすく展示されています。

見入ってしまったのは(読めない)、これ本当に全部手書き?と驚く古文書。
『清水湊旧記』は、清水湊の歴史や廻船問屋の由来などを記した嘉永3年(1850)の書物。筆先の流れが本当に美しく、手仕事の極みというか、もう芸術の域!

『清水湊と諸問屋の由来上申書』は、明治3年(1870)に明治政府の役所へ提出した清水湊の由来書の控。さすがにこちらは控だけあって、赤で筆を入れたり、紙で切り貼りしていて面白い。
昔の人はすごかった・・・。

○第二展示室 港湾の仕事
この部屋には、港湾の仕事で使われた道具や法被(はっぴ)の他、貿易港清水から輸出されたお茶の箱に貼ったラベルも展示されています。
輸出用に作られた茶箱のラベルは『蘭字』と呼ばれ、そのモダンなデザインは日本の近代グラフィックデザインの端緒となったとも言われています。
あまりに素晴らしかったので別途記事にしました。
⇒「蘭字」浮世絵職人が作ったラベル

○第三展示室 和船
和船の模型といっても、かなりの大きの船が居並ぶ壮観な眺めです。
和船を作る道具や船箪笥も展示されています。

○缶詰博物館
昭和4年(1929)清水食品(株)設立当時の本社社屋を移転・補修した建物。当時はモダンな洋風建築として評判だったようです。
こちらでは明治10年からの缶詰の歴史、当時の写真、道具、ラベルなどを見ることができます。

ここで、さらっと商品のご紹介です。
さすがに最初にツナ缶を輸出した企業SSK(清水食品)だけあって、素材にこだわりぬいて作った究極のツナ缶「高級ツナ缶 オーシャンプリンセスホワイトツナ」は絶品!
いろいろな味があるようですが、おすすめはオリーブオイル漬け。
ツナ缶の違いがわかる貴方に!
*ノーブランド品と表示されていますが、ブランド名はモンマルシェです。


ミュージアム レストラン・ショップ
Museum restaurant・shop

同じ敷地内にフレンチレストラン ミクニがあります。
あの オテル・ドゥ・ミクニの清水店。
夫はいただいたことがあるので感想を聞いたら、「うまかったと思う」。
食べさせ甲斐のないヤツです。

館内にカフェやレストランはありません。
ミュージアムショップはロビーにあります。

フェルケール博物館(一般財団法人 清水港湾博物館)
設計:藤江 通昌(ふじえ みちまさ)(株)ESPAD環境建築研究所
完成:1991年
住所:〒424-0943 静岡県静岡市清水区港町2-8-11
電話:054-352-8060

開館時間:9:30~16:30
休館日:月曜(但し祝祭日・振替休日の場合は開館)
入館料:大人400円・中高生300円・小学生200円
駐車場:無料駐車場あり
公式サイト: https://www.suzuyo.co.jp/suzuyo/verkehr/

ぐるり清水みなと散歩
Strolling around Port Shimizu

フェルケール博物館を出たら、エスパルスドリームプラザ手前の信号を海方向に曲がります。
するとまもなく左手にレンガの高い建物、マリンビルが見えてきます。
ここは貸しホール、貸し会議室なので観光客用の施設はありません。

清水港 左にマリンビル、右は富士ロジテック倉庫

富士ロジテック 日の出倉庫
Ware house of Fuji Logitech

マリンビルの向かいにあるのが、富士ロジテック日の出倉庫。
もちろん中には入れません。
アール・デコ風な角丸の建物で、色使いも意識して塗られているようです。
私にとって、この倉庫の存在が日の出地区全体をモダンな印象にしていると言っても過言ではありません。
倉庫にしておくのはもったいなさすぎ。
一部カフェレストランにしたらいかがでしょう?

富士ロジテック 清水 日の出倉庫

マリンターミナル Marine Terminal

さらにまっすぐ進むとマリンターミナルの横に出ます。目の前は海。
ここも基本的には貸しホール、貸し会議室がメインですが、1階のギャラリーでは、駿河湾の立体模型、深海生物などの展示が無料で見られます。

2階のデッキからは、三保半島がすぐそこに見えます。
デッキでひと休みしていると、屋外スピーカーから何やら話し声が。
このビル内にFM清水のスタジオがあり、私が行った時にはちょうど番組放送中だったようです。

清水マリンターミナル

駿河湾フェリー Suruga Bay Ferry

マリンターミナルの前は、駿河湾フェリーの発着所。
以前は富士市の田子の浦港と伊豆の土肥港間を55分で結んでいましたが、2002年業績不振のため航路を変更、清水港と土肥港を70分で結ぶ航路になりました。
この航路は2013年に、県道223(ふじさん)号線として登録されています。

現行の路線になってからも依然赤字だったようで、旧運行業者エスパルスドリームフェリーは2018年に撤退を表明。航路の存続を巡って静岡県内では結構大きな問題になりました。
で、結局エスパルスドリームフェリーから、フェリー1隻と船舶発着所、桟橋などを無償で県に譲渡するとの申し出があり、県と航路周辺の3市3町が主体となって運航を継続、当面は旧事業者が運航を担う形に落ち着きました。
2019年中旬には、静岡県などが設立した一般社団法人に運営を移管する予定。

今は格段に道路が良くなっていますが、それでも清水-土肥70分は近いです。
片道料金は普通だと車+ドライバーで約5千円~、旅客1人2千円強ですが、各種割引もあるようです。旅客だけでしたら、かなりリーズナブルに土肥まで行けます。
日本一深い湾を横切る旅、船上から見る静岡県をお楽しみください。

清水港ー土肥港 県道223号線(ふじさん)
駿河湾フェリー
問い合わせ:054-353-2221
公式サイト:https://www.dream-ferry.co.jp/suruga/
2019年中旬頃に運行主体が変わる予定です。

税関 Customs

清水港は静岡県で一番大きな国際港。ちゃんと税関(の支署)もあります。
この”CUSTOMS”の文字を見るたびに、外海への夢が広がったものでした。

明治30年(1897)に清水税関支署設置、明治32年には開港場として指定され、外国との貿易が始まりました。
静岡といえばお茶ですが、明治39年に清水港からアメリカ向けに緑茶を直輸出したのを皮切りに、大正7年にはお茶の輸出の8割を清水港が占めたといいます。
現在の清水港の輸出ベスト3は、プラモデル、楽器、オートバイ。
輸入ベスト3は、サッカーボール(!)、マグロ・冷凍アジ、紅茶だそうです。

参考:清水港湾事務所 http://www.shimizu.pa.cbr.mlit.go.jp/502/534/542/

清水港 税関

遊覧船乗り場 Pleasure cruise

税関から入り江を挟んで向かい側に、マリンパークのイベント広場があります。
撮影し損ねてしまいましたがレンガの広場で、多様なイベントが行われます。
その広場の前が遊覧船乗り場。清水港内をぐるっと1周します。
お天気も良かったせいか、平日だというのに多くの人が乗船していました。

清水港 遊覧船乗り場

砂浜 Beach

ドリームプラザの海側にある砂浜。はだしで水遊びができます。
ちょうどこの日は3月なのに暑いくらいの陽気で、子供達が遊ぶ姿をテレビ局のクルーが撮影。そのクルーを私が撮影してみました。

ドリームプラザ前の砂浜

エスパルスドリームプラザ
S-PULSE DREAM PLAZA

エスパルスドリームプラザ 静岡県清水市

散歩の後はエスパルスドリームプラザへ。愛称はドリプラ。
食事からエンタメまで何でもこいの複合商業施設です。

1階:マーケット、各種お弁当、寿司屋、レストラン、カフェ
2階:ショップ、レストラン
3階・4階:フットサルコート、映画館、ちびまるこちゃんランド、アミューズメント

観覧車『ドリームスカイ』からは、晴れていれば富士山、伊豆半島、駿河湾、三保の松原まで一望できます。

動画で撮影した港の風景は、1階と3階のデッキから。
1階のウッドデッキの前はヨットハーバー。
クリスマスシーズンには、ヨットのマストにLEDライトが飾られ水面に反射してそれはそれはきれいです。

清水港 テルファー

また、1階のデッキ横には、国登録文化財の”テルファー”があります。
テルファーは、接岸した艀(はしけ)の荷物を吊り上げてレールで直接貨物列車に積み込むための機械装置。
ガシっとした分厚い鉄の柱でもよさそうなのに、鉄を組んだ柔らかなデザイン、なめらかな曲線具合が何ともいい!
下の写真はフェルケール博物館に展示されていたテルファーの説明と青図です。

3階デッキからは、視界が開けて遠くまで見渡せます。

清水港 日の出地区へのアクセス How to get Hinode district

<駐車場>
フェルケール博物館には無料駐車場があります。

フェルケール博物館を出たら、エスパルスドリームプラザの駐車場へ。
1時間200円ですが、ドリプラで食事や買い物をすれば金額に応じて無料の時間がもらえますので、忘れずに駐車券を携帯して帰りに館内の機械で無料スタンプをもらってください。

<公共交通>
電車など公共交通で清水まで来た方は、下記の駅からエスパルスドリームプラザの無料シャトルが利用できます。
・清水駅
・JR清水駅みなと口(東口)
・静鉄新清水駅

アクセス詳細/エスパルスドリームプラザ

「ちきゅう」や大型客船、帆船が見られる

今回は見られませんでしたが、清水港はに有名な大型客船や帆船が多く寄航して、その美しい姿を見せてくれます。
寄航情報⇒ 清水港イベント案内/静岡県

そして清水港は、地球深部探査船「ちきゅう」の母港でもあります。
たまに一般公開もあって早々に応募したのに瞬殺! ものすごい人気です。
地球深部探査船「ちきゅう」/静岡県

鈴与といえば くじらのテレビCM

鈴与株式会社は清水が誇る一大コングロマリット。
非上場ですが持ち株会社では140社ものグループ企業を抱えています。
今まで散歩してきた多くの場所は、鈴与が関係する施設です。

その鈴与のテレビCM「くじら編」は、私がもの心ついた頃から放送されていたもの。
中断していたようですが、2015年から復活していたようです。
もう、ね、これは歌詞をお教えしたいくらい好きなCM。
みんなに愛されている名作CMの一本だと思います。

『くじら いつかきっと』
https://www.youtube.com/watch?v=PWEDtOboLW8
作詞:三井浩(コピーライター)
作曲、編曲、うた:鳥山あかね
放送地域:関東(1都6県)、中京(愛知・岐阜・三重)、福岡、静岡。

清水港は開港120周年

2019年8月 清水港は開港120周年を迎えるそうです。
特設サイトも設けられていますので、この夏清水に来る方は要チェックです。
https://s-kaiko120.com/index.html

ABOUT ME
たぬこ
たぬこ
インターネット黎明期よりずっとネット関係の仕事をしていましたが、その後ECメインに。2018年までの13年間オーガニックコットン衣料の販売をしていました。現在はTAOのライター兼管理をしている主婦(仮の姿?)。ちなみに写真は大昔のヤツです。

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