枇杷。何ものにも代えがたい、みずみずしく高貴な味わい…(遠い目)
梅雨入りの頃むしょうに食べたくなる旬の果物。
十数年前、蒲原に住む知人に「枇杷買いに行く?」と誘われ着いて行ったら、やっと車が一台通れるほどの細い曲がりくねった道を走り、案内してもらったのが由比の寺尾・東倉沢地区。
静かに降る梅雨の雨の中、さった峠(薩埵峠)に続く旧東海道沿いの農家の軒先には、ぷっくりした枇杷が所狭しと並んでいました。
知る人ぞ知る「倉沢」と「寺尾」のびわ
駿河湾を望む斜面で、たっぷりと陽射しを受けて育つ由比のびわは、大粒でみずみずしい甘みが特徴で、「倉沢びわ」「寺尾びわ」と呼ばれています。
静岡県では「土肥の白びわ」が有名で、シーズンになると新聞・テレビで一斉にPRされますが、こちらの枇杷はあまり広く知られていません。
車で行きにくい場所であり、高齢化しつつある生産者が山の斜面で作業するのがたいへんなため、生産量もそれほど多くないのが理由でしょうか。
平年であれば、このあたりの枇杷は 5月下旬から6月中旬頃がシーズン。
しかし今年(2019年)は、6月8日の時点で、多くの生産者さんが収穫を終え、かろうじて2~3件販売していたのみでした。
聞くところによると、今年は暖かかったので成長が早かったとのこと。
何とか滑り込みセーフで手に入れることができました。
由比駅から徒歩で
基本的に寺尾・倉沢地区には駐車場がありませんので、由比の駅から歩いて行くのが良いかと思います。歩いても10~15分程度の道のりです。
私たちが行った時も、ウォーキング姿の方たちが目につきました。
由比といえば、桜えび。由比駅を出ると桜えびのアーチが出迎えてくれます。
残念ながら、近年は不漁により春・秋の漁期は短縮され、ゴールデンウィークに開催される「桜えび祭り」も中止になることも多いです。今年は過去一番の不漁だったとか。
- 東海道本線 由比駅
- 桜えびのアーチ
桜えびのアーチはくぐらないで、反対方向に歩きます。
駅前の道をしばらく進むと、右手に山に登る細い道があり、入り口に「さった峠→」という小さな白い看板がたっています。
そこから旧東海道に出るまで短い坂道を登ります。
- 坂道の突き当たりの看板(寺尾地区)
- さった峠への看板(東倉沢地区)
坂道を登りきると、突き当たりに看板があります。
横に走る細い道が旧東海道。
右(東京方面)に少し行った辺りから、左に進んでさった峠の看板がある東倉沢の辺りまで、沿道の農家の軒先や倉庫で枇杷が売られています。
枇杷を買う
スーパーに並んだお値段を見て、食べたくてもなかなか手がでない枇杷。
それもそのはず、旬の季節は短いし、痛みやすい。
良い枇杷には、ひとつひとつ手作業で袋かけをするそうで、高所での作業はとてもたいへんです。
それなりのお値段がするのは当然。
が、ちょっとした傷でB品になっているものが、産地では手に入るのですよ。
味に変わりはないのですから自宅用ならこれで充分。
もちろんギフトにできる立派なものだって、スーパーより新鮮で手頃なお値段で売られています。
販売しているのは主に生産者さんの奥様たちが多いのですが、年齢よりはるかにお若く、フレンドリーで、いろんな話が聞けるのも楽しいものです。
途中のみどころ
いちばんのみどころは何といっても駿河湾!
家と家の間から垣間見える駿河湾もいい雰囲気で、山を見ればたわわに実ったオレンジ色の枇杷。
もうこれだけで、THE しずおか!
そして、旧東海道の面影を残す町並みの風情もたまりません。
「名主の館 小池邸」や「あかりの博物館」は見学もできるので、休憩がてら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
- あかりの博物館
- 旧東海道の町並み
あっという間に枇杷完食!
家に到着するやいなや、家族全員で味見!
枇杷は葉も実も薬効成分も豊富だそうで、さっそく咳が止まらない夫が抱えて食べていました。
今年の枇杷も絶品、幸せなお味でした!
温暖化でますます収穫が前倒しになるかもしれないので、来年は5月下旬頃に行ってみようと思います。
