海底火山が噴き出した溶岩によって作られた断崖絶壁に立つ石室神社
伊豆の最南端、石廊崎。
古くは長津呂湊といわれた石廊崎港を左手に見ながら歩道を20分ほど登ると1871年に点灯した石廊崎灯台があります。
その脇道を下ると波洗う荒々しい海岸線と大海原が広がっています。
そして断崖絶壁には石室(いろう)神社が鎮座。
社殿は庇のように突き出した大岩の懐の建っており、床は櫓組みで、下を覗くと不安になるほど。
櫓の梁には千石船の帆柱が使われていると伝えられ「伊豆七不思議」のひとつ。
神社の創建ははっきりしませんが、石廊崎沖は波が荒く岩礁の多い海の難所で、石室神社は、航海の安全を見守る神様です。
ジオ的にいえば、石廊崎一帯に広がるごつごつした岩は、海底火山から噴出した溶岩が海水で急激に冷やされ、バリバリに砕けてしまったものです。
「水冷破砕溶岩」といいます。
これらの岩には蜂の巣のような大小の窪みが見られます。
「タフォニ」と呼ばれ、水に溶けていた塩が水の蒸発とともに結晶化し、その結晶が成長して岩が壊されてできたものだと考えられています。
夕陽が美しい愛逢岬(あいあい岬)
石廊崎から西に進むと「あいあい岬」があり、近くにはユウスゲ(花期7~8月)の群落が見られる丘があります。
この丘は伊豆半島ができた後に活動した火山の噴出物が降り積もって埋め立てられたもの。スコリアと呼ばれる噴出物で、空気に触れて酸化し、赤茶けしてるのが特徴です。
さらに西に進むと中木という小さな漁港があります。
抜群の透明度として人気のあるヒリゾ浜への唯一の交通手段である渡船は、ここ中木港から出ています。中木はジオサイトしてもなかなか面白いエリアです。
圧巻!柱状節理のトンネルは絶対にはずせないスポット!
中木の海岸線に沿うように設けられた波打ち際の遊歩道を進むと、高さ数十メートルはありそうな岩の断崖が現れます。よく見ると、その岩肌は鋭利な刃物で切れ込みを入れたように、整然とした柱状の亀裂が走っています。
この断崖は、地下深くから上昇してきたマグマの通り道が地殻変動などによって地上に姿を現した「火山の根」です。その柱状の亀裂は、マグマがゆっくりと冷えて固まる際の収縮によってできる「柱状節理」です。
自然界では物が冷やされて縮むと3方向に割れていく性質があるそうです。ゆっくり冷やされるほどきれいな節理が生まれるようで、きれいな六角形の石柱も見られます。
岬を回りこむと柱状節理にぽっかりと穴の開いた奇岩に遭遇。
穴の向こうは、火山の時代へのタイムトンネルと呼びたくなるような風景です。
