南伊豆エリア

子浦日和山 伊豆半島ジオパーク

伊豆半島ジオパーク

かつて風待ち港として栄えた子浦の絶景

美しい紋様を見せる火山灰の地層

子浦観光協会の駐車場から徒歩25分、南伊豆東海バスの落居口バス停からほど近いところに「子浦日和山遊歩道」の案内板発見。ここがスタート地点。案内板の脇からヤブツバキなど照葉樹が茂る舗装の小道をしばらく登っていくと、ぱっと視界が開け、複雑な海岸線や小島が眼下に広がります。
眺望のいい子浦の日和山は標高117m。その名前が示すように、日和(天気)を見るための山。かつてはこの山から風向きや潮の流れを調べ、船の航行に役立てました。伊豆半島には日和山と名のつく山が9つほどあり、全国に80箇所あまりあるそうです。

かつて灯台があった見晴らしのいい高台

出発して10分あまりで広々として眺めのいい草原に出ます。かつては灯台として使われた「ひよみの灯」があった場所で、このコースの絶景ポイントのひとつ。視線の先には恐竜の爪を思わせる岩壁が海に落ち込み、目を転じると、地層がむき出しになった断崖がそそり立っています。

伊豆半島がまだ海の中だった1000~200万年前、割と浅い海で火山活動があり、その後の隆起によって地上に姿を現しました。それから長い時間をかけた浸食によって姿を変えながらも海底火山活動の痕跡が眼前で見られるエリアなのです。

昔から「蛇下り」と呼ばれる断崖は、海上から見上げると大蛇が下っているように見えたことに由来。これは海底にたまっていた火山灰や土石流の地層の亀裂を押し広げマグマが上昇してきた痕跡で“岩脈”といいます。

「蛇下り」と呼ばれる岩脈

眺めのいい草原を後にして、ギザギザした海岸線の水際へ。断崖の脇をすり抜けるように石段を下りていくと、美しい紋様の地層。海の底に降り積もった火山灰や白い軽石の地層で、波や海流の作用を受けながら波紋のような複雑な模様が刻まれたそうです。

美しい紋様をみせる凝灰岩

ころばし地蔵の面白い言い伝え

ころばし地蔵

水際を離れ、眺望のいい地蔵鼻へ。ここには「ころばし地蔵」という変わった名前のお地蔵さんが3体。お地蔵さんは目鼻立ちも分からないほどボロボロ。かつて海上の道の往来が盛んだった時代、子浦は風待ち港として栄え、遊郭も。そんな遊郭の女たちが客を引き止めるために、地蔵をゴロン。転がすと風が変わって海が荒れ、船出をした船が戻ってくるというジンクスがあったとか。罰当たりをご利益にするという遊女たちの知恵でしょうか。ちなみに、このお地蔵さんは凝灰岩でできています。

地蔵鼻から鏡穴へ。ここから山道を登ると「子浦三十三観音」です。このコースのジオポイントのひとつ。海底火山の噴火の際に石と砂がかき混ぜられた土石流が固まった地層の真下に観音さまが並んでいます。

子浦三十三観音
南伊豆町観光協会
住所:〒415-0303 静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂157-1
電話:0558-62-0141
URL:http://www.minami-izu.jp
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Hideki
Hideki
登山・アウトドア系のフォトライター。静岡に移住後は、富士山をライフワークに。年をとったのでハードな山登りはほどほどにして主に平地に生息している。
伊豆半島ジオパーク必携ガイド

伊豆半島ジオパークトレッキングガイド―伊豆の山歩き海歩き
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