すぐそこに見える富士山に向かって
長年の願いが叶い、やっと伺うことができた”懐石料理 繭玉(まゆだま)”。
世界遺産富士山の構成資産のひとつである村山浅間神社から、2~3キロほど登ったところにあります。
ちょっとした非日常の世界へ足を踏み入れる時のワクワク感と共に、森の中の細い道を進んで行きます。
古農家をリノベーション どこか懐かしいたたずまい
黄色に染まった いちょうの木の畑を通り過ぎると、突き当たりに大きな暖簾がかかった長屋門風の建物が現れます。
車を停めて暖簾をくぐると、そこに広がるのは、どこか懐かしい農家の風景。
そう、田舎のおばあちゃん家のような。
母屋は食堂に改装されていますが、牛を飼っていたと思われる納屋も健在。
繭玉さんはもともと、少し下った小泉という場所で営業されていましたが、オーナーご一家が以前に住んでいた家をリノベーションして、ここ粟倉で営業を始められました。
以前の場所は一日一組しか対応できず、予約が数ヶ月待ちで有名でしたが、ここでは最大20人くらいまでまで大丈夫。
昔は母屋で蚕を飼っていたらしく、高い天井に縦横に走る太い梁が目を惹きます。
ただひたすら手をかける もてなしの心
自家で採れる野菜をはじめ、できるだけ地場の素材を使った料理は、おのずと季節感あふれるものばかり。
私が驚いたのは、前菜のサラダ。かけられているソース(ドレッシング?)の味はもちろん、葉っぱ一枚までも、単に添え物ではなく、ちゃんと主役級に美味しく食べさせてくれるのです。
繭玉で出されるものは全て手作り。
手間を惜しまず作られた滋味あふれる料理の数々は、素材の美味しさと作り手の心をかみしめて、大事に食べたくなります。
懐石料理は、もともとは茶事でお茶をいただく前にもてなされる料理で、目にも美しく、とてもヘルシー。ご年配の方や女性には特に嬉しいメニューです。
ゆっくり流れる静かな時間の中で、最後に供されるお煎茶まで、存分に楽しませていただきました。
晩秋の金色の陽が傾き始めて長い影を落とす頃、食事は終わりました。
最高に贅沢な食事に感謝。
