オーガニック

いまさらですが、オーガニックコットンって何?

私は以前、オーガニックコットンを実店舗とインターネットで販売しておりまして、閉店して半年たった今も特別な想いがあります。
オーガニックコットンは、きちんと理解しようと思えば思うほど深い。
製品のことだけでなく、生産地、生産者、認証、製造工程、さらにはライフスタイルまで巻き込んだ、ものすごく深いテーマなのです。
そしてたくさんの方々に、大切なご縁をいただきました。
ありがたや、ありがたや。。。
家族や自分の健康問題で辞めることになりましたが、社会人人生終盤に差しかかって、やっと健康の大事さを身をもって知ることになったのでした。

そんな訳で、ざっくりとオーガニックコットンについて振り返りつつ、皆様に紹介したいと思います。私が初めてオーガニックコットンを手にした14年前とは違って、ご存知の方も多いと思いますが。

※下記のオーガニックコットン製品の説明は、販売されている全ての製品に当てはまるものではありません。

オーガニック(有機)コットンとは

オーガニックコットンは、化学肥料や農薬を3年以上散布していない健康な農地で栽培されるコットンで、そのことを第三者機関によって認証を受けたものだけがオーガニックコットンを名乗ることができます。
なぜ3年かというと、それまで化学肥料や農薬を使っていた農地を有機・無農薬に転換する際、 土中から薬品の影響が消えるのがだいたい3年くらいかかるという理由です。

これは日本の農林水産 省の有機農産物のJAS規格の認定基準にもなっていますが、現在の時点で、日本の有機JASには作物としてのオーガニックコットンの基準はありません。

世界的には綿花の有機栽培に対して「オーガニックコットン」の表示基準を有. する機関もあるが、日本では JAS 法の対象外である。即ち有機 JAS マークは貼れないが、有機という表示は可能である。

引用元:農林水産省 有機農産物 検査認証制度ハンドブック(改訂第5版)

コットン栽培と農薬

コットン栽培は、ほかの農作物に比べてとても手間のかかる作物で、その手間をはぶくために大量の化学肥料や農薬が使われています。

「コットン畑の面積は、世界の全農作物の耕作面積の約5%と少 ないのに対し、世界の農薬の25%はコットン畑で使われている」(Organic Exchange」の資料より) といわれているほどです。

一般綿では、綿花(コットンボール)を機械で一揆に摘み、その際じゃまになる葉っぱを落とすために「枯葉剤」も使われます。
大量の化学薬品を使うことで、土にとって大切な微生物を殺してしまい、地下水や空気を汚染します。
化学農薬漬けの畑は、やがて土が固くやせてしまい、保水性がなくなり、ひとたび雨が降ると土壌流失といった被害も起きてしまいます。

大量の農薬を使うことで、実際に畑で仕事をする農家の健康被害も問題になっています。また農家は、大量の化学肥料や農薬を買わなくてはならず、その費用が農家の経営を圧迫している現実もあるのです。

オーガニックコットンは人にも環境にも優しい

オーガニックコットン栽培は、基本的には野菜などの有機栽培と同じです。
化学肥料の代わりに家畜 の糞に綿花の小枝やガクなどを混ぜて発酵させた有機肥料(堆肥)を土に混ぜ込みます。土中の微生物の力を借りてコットンの生育に必要な栄養を送り込むのです。 雑草に対しても除草剤は使わず、そのまま自然に放っておくか、また機械や人の手で取り除きます。 やっかいな害虫については、殺虫剤は使わず、代わりに害虫の天敵であるテントウ虫などの“益虫” を放ったり、害虫が嫌う植物の力を利用して駆除。

もちろん、収穫期に枯葉剤を使うことはしません 。自然に落葉するのを待ち、人の手で収穫していきます。

したがって農薬による健康被害はなく、環境へのダメージもとても少ない。オーガニックコットン栽培は人にも 環境にも優しいのです。

しかし、化学肥料や農薬を使わないために、オーガニックコットン栽培は、とても手間ひまがかかります。オーガニックコットン人気は拡大する一方ですが、その栽培量は綿花全体の数パーセン ト程度といわれています。それだけ希少な綿花なのです。
しかしオーガニックコットンの人気が拡大しているにもかかわらず、その栽培量は綿花全体の1%未満と言わています。

製造過程での化学処理

有機・無農薬によって手間ひまをかけて栽培され、摘み採られたオーガニックコットンは、その製品化の過程でも、洗浄(漂白)剤、防縮加工、柔軟剤といった化学薬品は一切使用しないか、多様なニーズに対応するために使用する場合も、極力最低限の使用にとどめています。

オー ガニックコットン製品の表面に綿花の茎やカスが混じっている(洗濯によって徐々に取れるものです )ことや同一仕様の製品でも色が異なる場合があります。これは製品化の過程で化学的処理をしてい ない証拠でもあり、本来の綿花が持っている自然の風合いなのです。
染色においても、「彩土染め」(はにぞめ)や「ベンガラ染め」、「草木染め」といった自然の染料を使用するように極力努めています。

オーガニックコットン綿花

普通のコットンとオーガニックコットンはどう違う?

事実、出来上がってきたものを検査しても、触れてみても、違いはわかりません。また、よほど農薬の使い方を間違わない限り、消費者に健康被害を及ぼすということはまずありえません。

日本では、オーガニックコットン製品が作られ始めた当初のニーズの見通しは、化学物質過敏症やアトピーなどに悩む方、肌がデリケートな方や赤ちゃんをメインに考えられていて、圧倒的にベビーや女性用の商品が多く作られていました。
ですので、製造においても化学物質を使わず、本来綿が持つ特性を活かし、できるだけ肌当たりがよく柔らかく仕上げるようにしていた。
こうして、オーガニックコットンと通常綿との差別化を図る意味でも、オーガニックコットン=肌触りが良いというイメージを確立させていきました。

[本来の綿の特徴]

  • 天然の油分が豊富に含まれているため、洗濯した後でも弾力性が残る。
  • 繊維の先端が丸みを帯びているので、柔らかく肌触りが良い。
  • 吸湿性が高く、汗などの水分を外に発散させる際に体の気化熱を奪うために涼しく感じられ、通気 性も良いので夏に過ごしやすい。
  • 冬の乾燥時にも静電気が起こりにくい。
  • 繊維のなかの空洞に空気を含み、冬でも暖かい。

オーガニックコットンの有機認証

オーガニックコットンの認証には、規定に沿って栽培された有機農産物であることを第三者機関によって公正に認められた ”農産物としてのオーガニック認証” と、
製造過程においても、環境、労働者、消費者に負荷がかからない工程で誠実に作られた製品であることが認められた ”繊維製品としてのオーガニック認証” の2種類があります。

本当は性善説で信用できればそれに越したことはない。
しかし、多くのグローバルメーカーがオーガニックコットンを使うようになった今、第三者による公正なチェックは必須なのかもしれません。消費が広がることは、生産者を助け、オーガニックコットンの生産量を上げていくことになるのですから。

購入の目安になるラベル

「マジややこしい、いったい何を信用すればいいの?」
という声に応えるべく、認証を受けると ”認証マ-ク” を表示してもいいよ、ということになっています。

下記は代表的な認証マーク。これらのマークがついている製品は、信頼に足るオーガニックコットン製品だということです。

GOTS GOTS
(The Global Organic Textile Standard)

オーガニック繊維製品の、生産、本体および副資材の製造過程、販売に至るまで、厳格に規定されている世界基準。

 

OCS認証 OCS 100
(The Organic Content Standard
)

5〜100%のオーガニック原料を含む、食品以外の、すべてのオーガニック製品に適用。生産工程での社会的問題、加工工程での環境問題についての審査はなく、GOTSよりハードルが低い。

上記認証の詳細は、認証機関エコサート・ジャパンのサイトよりご確認いただけます。
“オーガニックコットン・テキスタイルに信頼の証を” エコサート・ジャパン

上記の第三者機関による認証マークのほかにも、
NPO法人 日本オーガニックコットン流通機構(NOC)、NPO法人 日本オーガニックコットン協会(JOCA)、協同組合エヌエス(Organic Garden)など、認証済みの原綿の使用はもちろん、製造工程、環境等に関する独自の規定をクリアした製品に表示が許される “ファミリータグ” と呼ばれるマークもあり、こちらも信頼できるオーガニックコットン製品を提供しています。

とにかく見慣れないラベルがあったら、その場でGoogle it !
オーガニックコットン製品を買うときには、ラベルやタグにも注意してみてください。

エシカル(ethical) & サスティナブル(sustainable)

「そうは言っても、オーガニックコットン製品って高いし。」
と、これも良く聞くお声です。
でも、生産者さんや下請けさんを叩きまくって、コストをできるだけ安く抑えて、右から左へガンガン安く売って、余ったら焼く・・・これって、誰かが悲しい思いをしていることですよね。

良く耳にする ”エシカル(人道的な)”、”サスティナブル(持続性がある)”という言葉。まさにオーガニックコットンは、これらのキーワードを満たした繊維です。

だから、少しくらい高くても、少しくらい汚れても、少しくらい穴が開いても、大切に使っていこうと思えるのです。特に日本の中小メーカーさんが作ったものたちは、温かみがあり、心を感じられるものが多いんですよ。

オーガニックコットン関係サイト リンク

NPO法人 日本オーガニックコットン流通機構(NOC)
https://noc-cotton.org/

NPO法人 日本オーガニックコットン協会(JOCA)
http://joca.gr.jp/main/what-organic-cotton/

aboutorganiccotton.org /非営利組織テキスタイル・エキスチェンジ(TE)
http://aboutorganiccotton.org/ja/

ABOUT ME
たぬこ
たぬこ
インターネット黎明期よりずっとネット関係の仕事をしていましたが、その後ECメインに。2018年までの13年間オーガニックコットン衣料の販売をしていました。現在はTAOのライター兼管理をしている主婦(仮の姿?)。ちなみに写真は大昔のヤツです。

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