時間がゆっくり流れる神奈川県葉山。
自然素材の布を使い、生活に根ざした日常着からパフォーマーの衣装まで幅広く制作をしている真砂三千代氏が主宰する Afa があります。
パートナーであるご主人様は、インディアンフルート奏者でありビジュアルアートの創作活動もされている真砂秀朗氏。
数年前、何も知らずにご自宅の一部を見せていただいた際、とても驚かされました。
経年の傷みはあるものの、大谷石の階段、内部の造り、建具、床・・・
素人目にも ”本物”を感じさせる住宅だったのです。
後日スタッフの方から 遠藤新(えんどう あらた)の建築であることを聞いて、またまた仰天。普通の人が 遠藤新の住宅に住めるの?!
フランク・ロイド・ライトのこと
遠藤新は、米国の建築家フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)の日本での一番弟子と言われている建築家。
ライトは、自らの建築をオーガニック建築(有機的建築)と呼び、自然界と建物が調和する設計、そして大草原に根を張るようなプレイリー様式の建物で有名です。
シカゴで訪ねてみたかったのが、ライトの建築が軒を連ねるオークパーク(OakPark, IL)や、お隣ウィスコンシン州にあるライトの住み込み建築学校タリアセン(TALIESIN)。
残念ながら行くことはできませんでしたが、ミシガン湖に近い高級住宅街を車で走っていた時に「これ完全にライトでしょ」的な住宅を発見。
そうなんです、シカゴには至るところにライトの建築があるんです!
ウィスコンシン州にあるライトの学校は、冬が厳しいタリアセン本校。
アリゾナ州の学校は、砂漠のタリアセン・ウエスト。
遠藤新も、冬はアリゾナ、夏は本校で学んだのでしょうか。

遠藤新の別荘建築 『明風』
この家は1939年フランク・ロイド・ライトの直弟子遠藤新により建てられた別荘住宅です。当時葉山には海と山に囲まれた心地よい環境の中に500を超える別荘があったとの事ですが、今ではこの家は当時の面影を残す数少ない別荘建築のひとつとなっています。今回サロンギャラリーというコンセプトの中に当時の雰囲気を生かしつつ新しい感覚を融合することを試みました。
「明風展」案内状より抜粋
以前から計画はうかがっていましたが、このたび案内状をいただき早速出かけてきました。
写真が多いのでギャラリー形式にしています。
クリックして大きい画像でご覧ください。
*撮影・ブログ掲載にあたっては、真砂氏の承諾を受けています。
*無断転載・使用はご遠慮ください。
- 外観1
- 外観2
- 玄関を入った正面の間
- 川沿いのアプローチ
- 大谷石の階段
- 改築前の玄関
川沿いの細道のつきあたりは、大谷石の階段。
ここを少し横に入ったところに玄関があります。
- 大谷石の暖炉!!
- 暖炉正面
- 暖炉拡大
そして広間には大谷石の暖炉!
必見は、暖炉の棚の上、両サイドの飾り窓。
額で隠れているので、裏の玄関側から撮影したものが下の一番左の写真です。
(ここは秀朗氏の書が主役なのに、見るところ違ってすみません・・・)
拡大してみるとわかるのですが、何と、ひとコマひとコマのガラス上部が鱗のようにカットされています!
ここまでやるかーと唸ってしまいました。
これが、暖炉の上の両側についています。美しい・・・。
<修正>
鱗カットの窓を”ガラス”と書いてしまいましたが、実は素材は ”貝殻” なのだそうです!
経年の汚れだとばかり・・お恥ずかしい。お詫び方々修正させていただきます。
貝ボタンは存じていますが、貝の窓とは・・・参りました。
ライトのガラス様の素材の扱い方も想像を絶するものがあり、やはり師匠の哲学が染み込んでいるのだと あらためて感じた次第です。
- 暖炉上の鱗型 貝殻窓!!
- フック
- これは!豹柄?の蝶番
- ドア1
- ドア2
- ドア3
ドアがすべて異なるデザイン。上の写真の他にもあります。
引き手やノブ、はめられているガラス、果ては蝶番(ちょうつがい)まで違います!
さすがにステンドグラス系はありませんでしたが、何種類もの凹凸ガラスが使われていました。
- 広間の飾り棚
- 飾り棚拡大
- 外の玄関脇
- 階段
- 階段拡大
- 床
- ノブ~!
- 唯一映りこんでいた天井
- 広間の縁側
今回拝見したのは1階だけですが、いかにもライトの弟子らしい所業が至るところに!しかも凝りまくっているのにシンプルで収まりがいい。
一時間ほどの滞在で細かく拝見するのは無理がありましたが、至福の時間を過ごさせていただいたことに感謝。
見るものがありすぎて壁や柱や天井を見るの忘れました・・・。
川村忠晴氏の灯り
当日は「明風」のお披露目を兼ねた、真砂秀朗氏・本川村忠晴氏・真砂三千代氏の三人展でもありました。
庭のもみじを手折り、何も手を加えず、小さな照明器具に差しただけなのに、れっきとした作品になっている もみじのライティング。(下の中央の写真)
生けたのは川村忠晴氏。
もともとはTVマンで、退職後造形作家に転身された方です。
「作品の植物にはほとんど手を入れません。あじさいも、紫外線や空気に触れなければ乾燥させたばかりの状態であり続ける。自然にそのままあるものが、いちばん美しい。」
今は全国で個展を行ったり、熱帯森林保護団体の美術・演出・制作等を手がけていらっしゃいます。
- 川村忠晴氏
- 横のへりの彫り物にも注目
- 川村氏の作品 あじさい
真砂三千代氏の衣
アジアの衣の原点を一枚の布を纏うことに視て、日本古来の結ぶ・重ねる・ひねる などの伝統的な着付けによる衣を制作。
自然素材の布で作る衣 Afa、オーガニックコットンの日常着 Life Afaを主宰。
下の写真は「明風」に展示された シルク、麻、綿などで作られた衣です。
真砂 秀朗氏の作品
インディアンフルートを中心にした音楽活動のほか、水彩画、版画、絵本、グラフィックデザインもこなす「絵と音」のアーティスト。独特なネイティブアートでAfaのグラフィックもデザインされています。
- 数年前の真砂さんご夫妻
- リフォーム前の氏のアトリエ
- 水彩画 ガラスも凝ってます
次のCD、絵本、本は真砂秀朗作品のごく一部です。
ぜひ音楽で、著作で、「明風」の世界を味わってみてください。

