(2019年末にシカゴを訪れた時の情報を元に加筆・修正しました)
シカゴの公共交通は、移動手段としてだけでなく、それ自体が観光の目的にもなる特徴的な交通です。米国2位の人口を誇った頃から発達してきた交通網は、初めての者には少しわかりづらかったりします。(現在の人口は米国3位です)
自身の失敗を踏まえ、シカゴの公共交通の利用方法について自分なりにまとめてみました。
・メトラ(Metra):郊外からダウンタウンへの通勤鉄道
・CTA ‘L’トレイン、CTAバス: シカゴと近郊
・Paceバス:郊外でのバスサービス
まず、この記事では通勤鉄道「メトラ」について、次回はダウンタウンとその近郊を網羅する「CTA」と郊外を走る「Paceバス」についてご案内します。


目次
メトラに乗る前の準備
路線図マップ(PDA)
メトラだけでなく、CTAの‘L’トレインやバスは、住人はもちろん旅行客にも必須の公共交通。下記一連のマップをダウンロードしておくと便利です。
駅や観光案内所では紙に印刷されたものがもらえますので、旅の記念にどうぞ。
メトラが伸びる6つの郡を全てカバーしています。料金や乗り方も書いてあります。
メトラ、CTAトレイン&バス、Paceバス全ての路線を掲載。
鉄道接続マップ(RTA Train Connections Map)
目的地までの行き方を検索
メトラは通勤時間帯以外の運行が少なく、1~2時間開くこともありますので、スケジュールのチェックは必須です。
メトラのみ調べる
メトラの時刻表、料金、駅、駐車場の詳細情報などが得られます。
メトラサイトのトップページ
現在以降の発車予定の便を表示
路線別詳細ページ
日時を指定して検索
現在地から目的地まで横断的に調べる
住所や名称を入力すれば、徒歩を含めた目的地までの行き方を調べられるサイト・アプリです。
RTA Trip Planner
シカゴ地域交通局のサイトだから、メトラ、Paceバス、CTAには詳しい。
Citymapper
鉄道・バス・徒歩などの経路を調べるアプリ。
“NEARBY”で近くのバス停、駅、Divvy(シェア自転車)なども一発で表示。
Googleマップより正確ともいわれ、現在は世界約40カ国で使えます。
Google Maps
使い慣れている方がよければ定番のGoogleマップアプリで。
ダウンタウンのメトラターミナル駅
ダウンタウンにあるメトラのターミナル駅は、シカゴユニオン駅だけでなく、全部で4駅あります。
路線によって、ダウンタウンの終着駅が違うのでご注意ください。
- Chicago Union Station(シカゴユニオン駅)
- OgilvieTransportation Center(オギルビー・トランスポーテーション・センター)
- Millenium Station(ミレニアム駅)
- LaSalle Street Station(ラサール・ストリート駅)
各路線と運行日
メトラ11路線の一覧です。
路線名をクリックすると、直接メトラサイトの各路線ページに飛びます。
CUS: Chicago Union Station
OTC: OgilvieTransportation Center
MIL: Millenium Station
LAS: LaSalle Street Station
略称 | 路線名 | ダウン タウン駅 |
行き先 | 土日 |
---|---|---|---|---|
シカゴから 北・北西 方面 | ||||
MD-N | Milwaukee District North | CUS | Fox Lake | ○ |
NCS | North Central Service | CUS | Antioch | × |
UP-N | Union Pacific North | OTC | Kenosha | ○ |
UP-NW | Union Pacific North West | OTC | (1) Harvard (2) McHenry |
○ |
南・南西 方面 | ||||
HC | Heritage Corridor | CUS | Joliet | × |
ME | Metra Electric District | MIL | (1) University Park (2) Blue Island (3) 93rd St. South Chicago |
○ |
RI | Rock Island District | LAS | Joliet | ○ |
SWS | SouthWest Service | CUS | Manhattan | 土○ 日× |
西 方面 | ||||
BNSF | BNSF Railway | CUS | Aurora | ○ |
MD-W | Milwaukee District West | CUS | Elgin | ○ |
UP-W | Union Pacific West | OTC | Elburn | ○ |
通勤時間帯の運行本数は多いが、それ以外は少ない
土日に運転がある路線でも本数は少なめ
終電が20時頃の路線もあるので注意
路線別のページから具体的に調べられること
下の例はパソコン版ですが、スマホ版もほとんど同じ機能です。
さすが本体だけあって路線や駅のいろんな情報を詳しく見られます。
眺めているだけでも楽しいですよ。
Schedule スケジュール:
日時を指定して発車時刻を調べる、この線の時刻表一覧ダウンロード
Line map ラインマップ:
路線図。駅をクリックすると駅の詳細情報が見られます
Fares 料金:
ゾーン別の料金表、*印の駅では切符販売していません
Stations 駅:
駅名を選択すると下記情報が表示されます。
・Agent Hours(切符販売窓口の営業時間)
・Waiting Room Hours(待合室がオープンしている時間)
・Next Trains Arriving(次の電車の時間)Inbound=シカゴ行き
・Station &Parking map(駅と駐車場の地図)
メトラの運賃と購入方法
メトラは距離(ゾーン)別に運賃が設定されています。
若干お高めですが、週末のウィークエンドパスは超おすすめ!
他にも大晦日や特定の祝日などに、乗り放題や運賃無料の日もあります。
チケットの種類
ゾーン料金(A~J)制 チケット
*ゾーン区間料金は、前述の路線別ページの”Fare(料金)”から調べられます。
(1) One-Way Ticket
片道切符
(2) 10-Ride Ticket
10回回数券。同乗者と分け合える。一年間有効。
(3) Monthly Unlimited Ride Pass
1ヶ月定期。本人のみ。
定額パス
(4) $10 Weekend Pass
たった10ドルで、土曜日・日曜日の2日間メトラに乗り放題 !!
乗車券の購入方法
メトラの乗車券を購入するには、下記のような方法があります。
駅の切符売場窓口(Station with Ticket Agent)
駅の自動券売機(Ticket Vending Machine)
電車の中 (Onboard the Train)
乗車時その駅の窓口・自動券売機で乗車券を販売していたのに、車内で車掌さんから購入した場合は、5ドルのサービス料(surcharge)が課金されます。
Ventra App(ヴェントラ アプリ)
Ventra アプリとは
CTAではすべての駅に自動券売機がありますが、メトラの場合、販売窓口も自動券売機もない駅が多々あります。そんな時に便利なのが Ventraアプリです。
Ventraアプリでは、次のことができます。
- メトラのチケット購入(複数人分の購入可)
- リアルタイムに発着時間がわかる
- Ventraカードを登録した場合の残高確認とチャージ
(追ってCTAの記事で説明します。)
Ventraラアプリでメトラの乗車券を買う
- Ventraアプリをダウンロードする。(iPhone, Android)
- “Create Account”(アカウントを作る)を選択して、アカウントを作成。
- ホーム画面の ”Buy Metra Tickets”を選択。
- メトラの路線を選んでから、出発駅と到着駅を選択。
- チケットの種類と枚数を指定し、他に購入予定がなければ “check out”する。
- 購入したチケットは、”My Metra Tickets”に保存されます。
まだ開かずに、そのままにしておいてください。
スマートフォンは充分に充電しておいてください。
(2019年末の情報を追記)
前回はうまくアプリに登録できなかったので今回再チャレンジ。
やはりアカウント登録で失敗してしまったので、まずCTAのVentraカードを入手して、次にVentraサイトの「Register a card(カード登録)」ページでアカウントを作ったらうまくいきました。
その後、イオンカード(バリバリの日本製クレジットカード)の登録も無事成功。
券売機然りですが、一回であきらめてはいけないようです。
メトラの駅 駐車場と駅舎
メトラの郊外の駅には広い駐車場が併設されています。
停められない可能性は低いと思いますが、万が一満車だったら、速攻で次の駅へ!
基本的に駅の近くに設置されている発券機で駐車料金を支払います。
私が行ったことがある駅の駐車料金は、1日で1ドル~1.25ドル!
* 基本おつりは出ないです。
* 駅によって管理者が違うため料金・駐車方法は異なります。
下の写真はNorthbrook駅の支払機で、駐車料金は1日1ドル!!
日本じゃ考えられない金額です。
使い方は次の通り。
1.駐車場所の番号を入力してEnterキーを押す。
2.札かコインを入れるか、クレジットカードを差し込んで抜く。
3.レシートを受け取る。
*これだけ。レシートは車に掲示する必要はありません。
さらに週末と祝日、そして平日でも午前10時以降は無料でした。どこまでも太っ腹!
郊外の駅舎はレンガ造りのものが多く、なんとも可愛くていい雰囲気。
チケットを販売している駅舎もあれば、単なる待合室としての駅舎もあります。
中には清潔なトイレもあり、飲料やスナックの自販機が置いてある駅も。
日本の駅の待合室より素敵できれいだったように思います。
最終列車を待たず、夕方には閉まってしまう駅舎が多いので要注意です。
そしてメトラの駅には、改札がありません。
だから、誰でもホームに入ることができます。
駐車場からホームまでシームレス!
入場料なんてケチくさいものもありません。
旅行でいらっしゃる方にも、メトラのいろんな魅力を味わって欲しいと思います。
メトラに乗車!
メトラの車内
ほとんどのメトラ車両は二階建てで、乗り込んだら1階でも2階でも好きな座席を選んで座ります。
紙のチケットの場合
すでにチケットを持っている場合は、目の前のシートにある金属製のクリップに挟んでおくと、勝手に車掌さんが検札して戻しておいてくれます。
チケットがなくても車掌さんから購入できますが、小銭の用意は忘れずに。
シカゴでお釣りは期待しない方がいいと思われます…。
乗車時その駅の窓口・自動券売機で乗車券を販売していたのに、車内で購入した場合は、5ドルのサービス料(surcharge)が課金されます。
Ventra モバイルチケットの場合
前述の通りあらかじめVentraアプリでチケットを購入しておきます。
(1) 席に座ったらアプリを開き「My Metra Tickets」の中から、使いたいチケットを選びます。(Activate)
(2) 車掌さんが回って来たら、スマートフォンの画面を見せます。
(3) 画面をタップするように言われたらタップします。すると色が変わって確認終了です!
Ventraアプリでの メトラチケットの買い方・乗り方については、下の動画も参考になさってください。
メトラの車両についての小ネタ
メトラの車両は、ほとんどが2階建てのディーゼル電気機関車(diesel-electoric locomotion)です。一部 Metra Electric Districtの路線ではハイライナーという電車が走っています。
メトラの客車は、内部中央が吹き抜けのギャラリーカーと呼ばれるもので、車掌さんは1階にいながら2階の乗客の切符を検札できるようになっています。
驚いたのは、現在メトラで使われている車両の過半数が日本の会社(の現地法人)が製造していました! 正確には2019年5月現在、51%強!
(参考:Metra Commuter Rail Rolling Stock/ RTA)
日本車輌製造株式会社と住友商事の連合らしく、シカゴ郊外のアーリントンハイツにオフィスもあるようです。
メトラに乗ったら製造元を探してみてはいかがでしょうか。


